幻に終わった80年代のGodzilla 3-D |
『13日の金曜日3』のスティーヴ・マイナーが80年代前半に当時流行していた立体映画として企画したのがこれ。
『ドラキュリアン』、『ロボコップ3』のフレッド・デッカーが脚本を書き、『スペースインベーダー』『バタリアン』のデザイナー、ウィリアム・スタウトらが絵コンテ、『恐竜の惑星』のスティーヴ・ツァーカスがモデルアニメ用人形を制作していた。更にモデルアニメは『空の大怪獣Q』、『パペット・マスター』シリーズのデヴィッド・アレン、クローズアップ用の頭部を『『マイティ・ジョー・ヤング』のリック・ベイカーが作ると決まっていた。
ストーリーボードまで作成されかなり具体的な企画であったが資金調達がままならず、企画は頓挫した。もし、この映画が成功していたら、次はマイナー製作、スタウト監督で、『ラドン』を作るつもりだったらしい。
ウイリアムスタウトによるデザイン画
ゴジラのフェイスパターン
試作された検討用雛形モデル・・・あまりに恐竜っぽ過ぎるため関係者には不評だった。
<ストーリー>
地球の周囲を回る米国の人口衛星に隕石が衝突、衝突のショックで南太平洋に向かって核弾頭が誤射されてしまう。そして核爆発は未知の巨大怪獣を目覚めさせてしまうのであった・・・
日本の漁船がサンフランシスコへ向かう太平洋上で行方不明となった。漁船はひどく破損され、燃やされた姿でアメリカ政府に発見され、極秘に回収された。サンフランシスコクロニクルの女性記者、デイナ・マーティンは施設に潜入に成功する。彼女は、船上で生きた三葉虫を回収し、瀕死の日本人漁師との接触する。そして彼が残した謎のダイイングメッセージは「ゴジラ・・・」だった。
その頃、米国特殊部隊もタヒチの小島で巨大生物が村を破壊し、焼き払った現場に遭遇する・・・
メキシコの沖合では海軍大佐Daxtonが沈没したソ連の原子力潜水艦の調査を行っていた。KGBのKruschovは、近くのボートからのアメリカの回収作業を監視していた。彼の任務は潜水艦に搭載された特殊ミサイル奪還にあった。ミサイルは対核兵器として開発された「ドラゴン」と呼ばれる特殊ミサイルであった。DaxtonのチームはKGBの妨害をかわし、ドラゴンを回収する。そして潜水艦からは巨大生物による攻撃の模様を残したビデオテープも発見された。
Daxtonは任務の為、長い間家を空けていた。
その為、息子のケヴィンは趣味のマジックとペットのトカゲと戯れる事で寂しさを紛らわせていた。メキシコ湾での任務を終え、Daxtonは自宅へ戻ったが、すぐにケヴィン、古生物学者Balingerと共にBajaへ赴く事となる。
そこでは、巨大な爬虫類の死体が海岸に打ち寄せられていた。Daxtonはそれがソ連潜水艦を攻撃した生物だと考えた。そして潜水艦のミサイルによってその怪物は殺されたのだと。Balingerは、怪物が核爆発によって目覚めた太古の恐竜ではないかと推理する。
しかし、軍はそれらの事実をすべて極秘事項として隠ぺいし、Balingerを解雇する。彼はケヴィンに、古代の日本人に畏れられていた伝説の龍-ゴジラのことを伝えた。
そしてカリフォルニア沖では死体よりはるかに大きな怪獣が現れ、石油採掘装置およびタンカーを破壊した。
怪獣の死体は厳重な警戒の下、サンフランシスコの施設で研究が進められていた。しかし研究者達は放射線障害の症状を起こし始めていた。その事を知りBalingerは、怪獣がある種の「生きた原子炉」と化しているのではと推理した。さらに彼は、カリフォルニア沖の事件はもう一体怪獣が存在する可能性を示唆し、その「より大きなもの」がサンフランシスコに向かっていることを・・・
Kruschovはドラゴンミサイル奪還を目論見、ケヴィンを誘拐する。ケヴィンはゴールデン・ゲート・ブリッジのたもとにある、KGBのアジトへ監禁される。ケヴィンはマジックの技術を駆使し、Kruschovから逃げようとした。しかし、ちょうどその時、ゴジラがゴールデン・ゲート・ブリッジに現れた!ゴジラは尾の強打でブリッジを打ち揺るがし、ケヴィンはKruschovに再び捕まってしまう。
ゴジラ出現はサンフランシスコをパニックに陥れた。戦車隊による攻撃も単にゴジラを刺激するだけだった。ゴジラはブリッジを破壊し、遂に上陸する。DaxtonとBalingerは、都市からゴジラを誘導し、ソ連のドラゴンミサイルで打ち倒す計画を立案する。
F-16戦闘機はユニオン・スクエアでゴジラを攻撃する。しかしゴジラもケーブルカーを振り回し応戦。クロニクルビルも破壊されてしまう。ゴジラの破壊はとどまるところを知らない。
Balingerはデイナ・マーティンと共にアルカトラス島にいた。彼はゴジラをおびき寄せる為、ビデオテープから怪獣の子供の泣き声をダビングした。一方Daxtonはコブラ・ヘリコプターにドラゴンミサイルを装てんしていた。ヘリが離陸し始めるとともに、Kruschovがケヴィンを連れて現れた。Kruschovは、ケヴィンと交換にミサイルの受け渡しをを要求するがDaxtonは応じない。二人の争いによりヘリは激しく横揺れし、バランスを崩したKruschovはゴジラの手元に落ちてしまう。
ゴジラは、KGBのスパイをしばらく凝視した後、白熱光で灰にした。
ゴジラは白熱光を吐き散らしシスコの街を焦土に変えていく。ゴジラは何かを捜しているようだった。それが子供である事は容易に想像がついた。そしてゴジラは骸と化した我が子を見つけると、激怒の咆哮をあげた。
マーティンとBalingerは暴れ狂うゴジラに向かって録音テープを流した。市内を蹂躙していたゴジラはテープに反応し、アルカトラスに向かう。そしてDaxtonもドラゴンミサイルを別のヘリに再装てんしゴジラに向かった。Daxtonは操縦に専念する為、ケヴィンにミサイルの発射を託した。ゴジラに共感していた爬虫類好きのケヴィンはすすり泣きながらも、吠えかかるゴジラに向かってドラゴンミサイルを発射する!
苦しみもがくゴジラ。
ヘリもバランスを崩し、ケヴィンは落下してしまう。しかし、断末魔の苦しみの中、ゴジラは少年をキャッチし、海岸にそっと置くのであった・・・
ゴジラシリーズのみならず、ゴルゴやガメラといった様々な怪獣映画のごった煮的な子供向け?のストーリーですが、これはこれで見てみたかった気がします。