追悼カールゴッチ |
日本のプロレス界においては故ルーテーズと並ぶ強さの象徴でした。
猪木、前田、佐山、藤原・・・多くの優秀なプロレスラーを育てた手腕、思想も含めてマット界に残した功績は計り知れないものがあります。
◆ゴッチというとガチガチのシュートみたいなイメージが強いですが、実像はどうだったんでしょう。私は数少ない映像(新日旗揚げ戦、最強タッグ戦等)の後追いでしか知らないのですが、そこで見ることが出来る姿はシュートというにはほど遠い印象。技術とパワーを演舞的に見せる自己中心的なパフォーマーというイメージ。
所謂UWFスタイルとは全然違うし、テーズやロビンソンのストロングスタイルともだいぶ違う。
例えは悪いですが、ミルマスカラス的な印象を持ちました。
勿論、相手が弟子の猪木だった為、演舞的な試合になったのだとは思いますけど、脳内イメージとのギャップに軽いショックを受けました。
確認する意味でも最近DVD化された国際プロレスでのロビンソン戦を見てみたいですね。
◆レスリングスタイルの理想を求めて新日本→UWF→シューティング→パンクラスと紆余曲折渡り歩いていた印象がありますが、ファイトスタイルが象徴するように実は言うほど理想とするプロレスはガチガチじゃ無かったんじゃないか、という疑念もあります。
晩年は「客の呼べるレスラーがトップに立つべき」と発言していたり、ノアのビデオを見て小橋、三沢を評価していたとも聞きます。テーズが三沢の試合を見て「単なるタフマンコンテスト」と冷笑していたのとは対象的。
直近では無我の顧問を務めていましたが、実はテーズ以上に「柔軟」で「商業的」だったのかもしれませんね。
◆それでも卓越した格闘理論とコンディショニング理論を弟子たちに伝えた功績は何ら色あせるものではありません。ゴッチが居なければ1976年のアントニオ猪木も居なかったし、その後の格闘技の歴史は大きく変わっていたでしょう。
晩年は関係悪化から猪木に対する辛らつな言葉が目立ちましたが、亡くなられる前に両者歩み寄って関係修復して欲しかったと思います。
ご冥福をお祈り致します。
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コメント
投稿者:kimura 2007/7/30 15:48
カール・ゴッチが強いシュートレスラーだったことは疑いようのない事実であり、名伯楽といっていい教え上手だったことは間違いないでしょう。
が、プロフェッショナルレスラーとして見れば、pasinさんの指摘通り、強さを鼻にかけた自己中の試合しかできない我が儘で偏った選手だったように私にも思われます。
猪木さんは、ことゴッチに関する話になると、ゴッチ直伝の強さに誇りを持ちつつも、同じレスラーとしてテーズや自分とは事実上格の違いがあると、必ず、それとなく釘を刺すのを忘れませんでした。ゴッチと現役の時期が重なる猪木さんにとって、リング外でのゴッチはたしかに師匠でも、同じリングに立てばある種の失望を感じさせられる複雑な対象だったようです。
いつか、猪木さんが「カール・ゴッチをプロレスの神様にしたのは俺だ」と言ったのを聞いてショックを受けたことがありましたが、今憶い出すと、それは自分の強さを持て余すばかりでついに成功者になれなかったゴッチに対する哀しさ半分、怒り半分の言葉だったように思われます。
強い者が報われる理想のプロレスをつくろうとしていた猪木さんにとって、ゴッチの存在は大きな矛盾そのものでもあったんでしょうね。